お灸は何から出来ているの?

今日は、鍼灸の「お灸」についてお話をしたいと思います。

 

薬局などでも販売されているお灸や私たちが施術に使うお灸ですが、実は古来より使われてきたお灸の成分は現在でも変わっていません。

 

お灸は「モグサ」と呼ばれるヨモギの葉を乾燥させ、精製したものから出来ており、ヨモギの葉の繊毛と呼ばれる部分がモグサの主な成分となり、お灸の方法によりモグサの純度が重要になってきます。

 

当院で使用するお灸を例にご紹介していきます。

 

現在主流で薬局でも販売している「台座灸」は、厚紙で出来た台座の上に細い棒状のモグサが乗っていて、燃え尽きても皮膚との間に台座があるため、やけどの心配が無くお家でお灸をする際も安全で、好みの暖かさを調節しやすくなっています。 

 

台座灸はモグサの温度を上げるために、繊毛にその他成分(葉や茎のような不純物)が少し配合されています。

香りはお灸本来のどこか懐かしいようはいい香りがします。最近では棒状のモグサの中にお香を配合したアロマ灸という物もあります。

 

 

次に、お灸と聞いて一番イメージされるのは皮膚に直接モグサを乗せるお灸ではないでしょうか。

 

昔の方々は、身体の痛いところがあるとお寺でお灸を据えてもらって、熱くても我慢をするため火傷の跡が残っていた・・・。と患者様からよくお聞きします。

 

私たちが直接皮膚に据るお灸は米粒の半分の大きさのものを使います。このお灸は高純度のモグサを使用します。高純度のモグサは素早く燃焼するため温度が低い特徴があります。また、不純物が混ざらないので、香りがとても良いです。

 

「逆子のお灸」と聞いたことがあるでしょうか。足の小指のツボにこのお灸を何壮も据ると、お腹の赤ちゃんが動き出して逆子が治る。という伝承される灸法です。実際に、妻が次男を妊娠時に逆子になり、逆子のお灸をしたところ元に戻り無事出産することが出来ました。また、産婦人科でもお灸の日を設けているところもあるようです。

 

 

最後に、「灸頭鍼」という灸と鍼を融合したお灸です。鍼の頭のボール状のモグサを付けて燃焼します。

 

モグサが宙に浮いているので、モグサが燃える輻射熱で身体を温める際に使用します。一見熱いように見えますが、鍼には熱は伝わらず、感覚としては温泉に入っているような暖かさです。

主に慢性腰痛や坐骨神経痛、五十肩などの症状で患部を温めたい時に使う灸ですが、このモグサに限り熱量を上げたいのであえて不純物が多いモグサを使います。

 

いかがでしたでしょうか。ご紹介した以外にもお灸にはまだまだ種類があります。現代のような医学がまだ無かった時代は、症状に対してさまざまな手法が生まれてきました。何千年と変わらないという事は、確かな効果がある。という事なのだと思います。

また、セルフで自宅でもお灸は可能なので、ご興味がある方は施術の際に症状にあったツボを処方させて頂きます。

季節の変わり目にぴったりなセルフケアです。